-Body Language→
「浮気って……」
それじゃまるで俺たち恋人同士みたいじゃねえか――言葉にこそできないままで、だが視線でそんなふうに訴えれば、遼二はまたもやわらかに微笑んだ。
「くだらねえ心配いらねえよ。女どころか、男だろうが誰だろうが、俺はお前しか眼中にねんだから」
「……なに……言って……」
「マジだぜ」
言葉通りの真剣な眼差しが射るようにこちらを見つめてくる。じっと――見つめられ過ぎて耐えられなくなるくらいに重ねられた視線をどちらからとも外せない。
大きな掌が包み込むように頬に触れ、そのまま顎先を掴まれたと思ったら、クイと顔を交互するように近付けられて唇に軽いキスが落とされた。
「――する?」
「……え?」
「お前の見た嫌な夢を取っ払ってやるよ」
「……ッ」
いきなり強く抱き寄せられて、今度は濃厚極まりない口づけの嵐だ。今の今までの穏やかでやさしい視線はもうどこにもなく、激しい雄の欲情をまとった男が自らを抱き締める。
「……ちょッ、遼……!」
「こんな……エロい服、俺以外の誰かの前で着んじゃねえぞ?」
「……は? エロいって何……」
やはり露出の高い服装に気付いていたのか――
「すぐに脱がせそうなダブダブのスウェットに、乳首が透けて見えるピチピチのタンクなんてさ……こんなカッコで外に出るんじゃねえって言ったんだ」
「ンなの、ただ着やすいだけ……だって」
「嘘だな――」
わざとだろう? 俺を誘惑したかっただけなんじゃねえか?
すっかり見抜かれていることに、恥ずかしくて頬は茹で蛸状態だ。そんな気持ちを更に煽るようなことを遼二は言った。
「例えば――もしか知らねえ女が超エロいカッコで迫ってきたとしても、俺は手出したりしねえ。どんなトラップ敷かれてもぜってー引っ掛かったりしねえよ」
「何……言ってんの、お前……」
「だって心配だったんだろ? 夢ン中で俺が女を抱いてて、不安になったんだろ?」
「……ッ、別に……ンなこと」
「でもお前なら話は別だ。こんなエロい格好見せられたら我慢なんかできねえわ」
抱き寄せられて重なり合った身体の中心が既に硬く熱を帯びていて、遼二が欲情しているのを知らしめてくる。
お前も素直になれよ、欲しいなら掴み取って見せろよ――と、こちらの羞恥心などおかまいなしに弱いところを突いてくる。どうしてこいつは、こうも堂々と思ったままを口にできてしまうのか。
正直、羨ましかった。自分ももっと素直に、この腕に飛び込んでいくことができたなら――そう、例えばこうして腕を広げて『来いよ』と言ってもらわずとも、自ら押し広げてでもこの胸に抱き付いてみたい。
そんな気持ちのままに、紫月は目の前の逞しい胸板にポスンと額を預けた。そのまま視線を下へ――僅かに躊躇する指先に勇気を持たせるようにジーンズへと手を掛ける。
「な、遼……ベッドの上……座れって……」
座位をうながし、前を開け、木綿のボクサーに頬を寄せ――彼の雄を口へと含んだ。
頭上では遼二がこちらを見下ろしながら、くしゃくしゃと髪を撫で、指に絡めてくる。
「どした? お前が急にこんなことしたがるなんてよ」
そう、いつもは大概逆なのだ。遼二に愛撫されることが多いのは、やはり自身が彼を受け入れる立場だからだろうか。
「もしか……夢ン中で女が俺にこういうことをしてたのか?」
さすがにいくら何でもデリカシーがないだろうと睨み上げるも、図星なので反論の言葉も思い浮かばない。
(ああ、その通りだよ――! 俺だったらもっと気持ち良くしてやれる。お前の感じるところ、誰よりも分かってんのは俺なんだから。女なんかに負けたくねえよ……!)
言葉に代えて、目一杯濃厚な愛撫で攻め立てた。竿の付け根から先端の鈴口までの裏筋を、舌先で強くなぞって舐め上げて、掌ではフクロを転がすようにユルユルと揉みしだく。次第にあふれ出してくる蜜液を焦らすように舌に絡めてしゃぶれば、髪を弄っていた彼の指先にキュッと力が込められて、快楽の度合いがダイレクトに伝わってきた。
「遼、イって……いいよ。俺が――飲む? それとも顔射する?」
どっちでもお前の好きにしていいぜと告げる。未だ、髪を弄びながら遼二はクシャリと瞳をしかめた。
「ん、そんじゃ……飲んで。あと、半分は顔射――いい?」
「おっけ――」
紫月はガチガチに硬くなっている雄を掴み、激しく揉みしだきながら、先端を咥え込んで絶頂を待った。
◇ ◇ ◇